キミから「好き」と、聞けますように。
不意に幼い声がして、近くを見るといつの間にか髪の毛を三つ編みにした、小さな女の子の姿があった。
「七菜。ちょっと待てって!」
その女の子を追いかける男子高校生の姿が、あった。
え、あの高い身長、うちの高校の制服を着ているってことは……。
「えっ、温森?」
東條くん!?
なんで、この子が東條くんと一緒にいるの?
もしかして、この子は東條くんの妹?
東條くんに、こんなに小さい妹さんがいたの?
「かんにいに。このおねえちゃんとおともだちなの?」
かんにいに……東條くんの下の名前、『寛太』だから、もじったのかな?
にいに……ってことは、やっぱり?
「えっと、妹さんなの?」
「こいつ? 七菜のこと? 姪っ子だよ」
「め、姪っ子……?」
姪っ子って……姪っ子って……。
それなら、妹さんって言われた方がまだ驚かなかったよ!?
高校生にして、姪っ子を持つ人なんて初めて見たよ……。
もちろん、こんなに歳の離れた兄弟と会ったこともないんだけど。
「兄貴とは10歳離れてるから。妹と間違われることやっぱ多くてさー」
そう言いながら、姪っ子の背中をポンポンと叩く東條くん。