キミから「好き」と、聞けますように。

七菜ちゃんは、東條くんにプリンアラモードのクレープを買ってもらって、食べ始めた。



「プリンアラモードのクレープ、なな、いちばんおきにいりなの!」



満面の笑みを浮かべて、七菜ちゃんはそう言った。


カスタードプリン、ホイップクリーム、イチゴ、バナナ、メロンなどフルーツやスイーツがふんだんに使われていて、小さな子供にすごく人気なんだよね。

わたしも、昔好きだったなぁ。


せっかくの、きれいなブルーの花柄のワンピースにカラメルソースがついちゃってる。



「そっかぁ。美味しいよねー」



「うん、おいしー! おねえさんも、ひとくちたべる?」



……優しいなあ。
小さい子だったら、好きなものは自分で全部食べたがるようなイメージがあるんだけど……。


七菜ちゃんが好きなのであれば全部食べてほしい気持ちもあったけれど、せっかくこう言っているんだから、少しもらってしまおう。


わたしは、クレープに顔を近づけてパクリとかじった。

クレープの生地やプリン、フルーツなどといった、さまざまな甘い味のハーモニーが口の中で奏でては、とろとろと消えてなくなった。



「ありがとう、七菜ちゃん」



「どーいたしまして! おねえちゃんって、なんておなまえ?」



「温森 紗雪です」



「さゆきちゃんっていうんだ! すてきなおなまえだね!」



「七菜ちゃんっていうのも、すごく可愛いお名前だよ?」



わたしがそう言うと七菜ちゃんは、えへへー、と笑った。


……め、めちゃくちゃ可愛い。




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