キミから「好き」と、聞けますように。
「なな、ほんとはね。とととかかとも、いっしょにクレープたべたいんだけど、とと、チョコとかなまクリームにがてっていってて、ついてきてくれないんだ」
「とと?」
七菜ちゃんの話し方が舌っ足らずなのか、またわたしの症状が出てきたのか、言っていることの一部が分からない。
一体、誰のことを言っているんだろう。
「兄貴のやつ、自分らのことを七菜に『とと、かか』って呼ばせてるらしくてさ」
東條くんが助け舟を出してくれた。
あっ、なあんだ。
今のは、わたしのせいでも七菜ちゃんのせいでもなかったんだね。
七菜ちゃんは、家でもお父さんを『とと』、お母さんを『かか』って呼んでるんだね。
とと、かか、かぁ。
わたしは、幼い頃からずっと両親のことを『お父さん』、『お母さん』って呼んできたし、ひなや周りの友達もみんなそうだったから、なんだか新鮮で可愛い。
「かかは、きてくれるかなー!」
かか。
これは、お母さんのことだね。
「ふふっ、いつかお母さんとも一緒に買いにきてくれる?」
「うん!」
七菜ちゃんはわたしの言葉に頷いた後、今度は東條くんの方に顔を向けた。