キミから「好き」と、聞けますように。

「かんにいにー。かんにいに、クレープたのまないの? きょうは、かんにいにもいっしょにクレープたべるってやくそくでしょ?」



「あっ、えーっと……」



東條くんは、下を向いて頭を掻いたまま何も答えない。



「そうだったの?」



「そうだよ! きょうはいいっていってくれたじゃん!」



お母さんの問いかけに、七菜ちゃんはハキハキと答えている。



「はいはい、えっとじゃあ、これをお願いします」



東條くんは、早口で注文しながらお金を払う。


これ、じゃ全然わからないや。
七菜ちゃんも気になるようで、東條くんの姿から目を離さない。



「お待たせしました、クリームオレンジです」



お母さんは、東條くんにそう言いながら焼きたてのクレープを渡した。

クリームオレンジ……ああ、生クリームとオレンジが入ったシンプルだけど酸味があって美味しいんだよね。



「ありがとうございます」



東條くんは、お礼を言いながら受け取ったクレープを食べ始めた。




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