キミから「好き」と、聞けますように。
英語の授業が始まった。
なんとかわたしとひなは、宿題のプリントにあった問題を解き終えて、今は答え合わせをしている。
「はい、この2番目の問題は難しいとこだけど、分かった人いるかー?」
先生はそう言ったけれど、みんなはしんとしていて誰も手を挙げようとしない。
「誰もいないのか? 応用だけど、これ分からなかったらテストで苦労すんぞ」
その言葉で、スッと誰かの手が伸びる。
見ると、それは東條くんの手だった。
「お、じゃあ東條」
堂々とした顔で、2番目の英文を訳していく。
「はい正解。これテストに出したから、間違えてた奴は覚えろよー。ちなみに、この英文そのまま覚えてたら、身に入らんから単語変わってた時に注意するんだぞ」
ほとんどの問題は自信はあるけれど、さすがに今の問題だけはどうしてもわからなかった。
「すっごい……」
わたしの口から、思わずそんな言葉がもれてしまった。
他の人も、相当驚いたみたいで目を大きく見開かせながら、東條くんを見ている。
……だけど、分かるんだったらなんですぐに手を挙げなかったんだろう?
ひょっとして、シャイな性格だから遠慮していたのかな?
……いや、わたしとカラオケに行ったりした時は、そんな風には見えなかったけど。