キミから「好き」と、聞けますように。
「えへへ、おいしかった!」
ソフトクリームを食べ終えた七菜ちゃんは、口元のあちこちが白くなっちゃっていて、髭を生やした小人みたいになっている。
その様子を見た東條くんは、タオルで七菜ちゃんの口元をゴシゴシと拭いてあげていた。
「悪いな、長嶺」
「ううん、気にしないで。わたしがやりたくてやっているだけなんだから」
そう言いながら、手をヒラヒラさせるひな。
東條くんの目、今は七菜ちゃんとひなしか映っていないんだろうな。
さっきまでは、わたしのことを見て話してくれたのに。
そりゃあ、ひなは七菜ちゃんにソフトクリームを買ってあげて、七菜ちゃんはまだ小さいから面倒見ないといけない。
だから、東條くんが2人のことしか見ていないことなんてごく当たり前のことなのに。
お礼を言われるひな、口を拭いてもらっている七菜ちゃん。
話す以外のことをしてもらっている2人を見て、なんとなく胸がチクンとした。