キミから「好き」と、聞けますように。
明日から、ゴールデンウイークが始まる。
わたしは、スクールバッグのチャックを閉じて帰る支度を始める。
ひなは、ダンス部の活動があるのでもう部室へと行ってしまっていた。
「なあ温森」
東條くんが、わたしの席のそばまでやってきた。
「ん?」
「これ」
そう言って、東條くんは2枚のチケットを見せてきた。
『恋色の焚き火』という映画のチケットだ。
そういえば、その映画、近々公開だったっけ。
「映画のチケット……?」
「こないだ、カラオケ一緒に行ってくれたろ? お礼に、チケット2枚当てたんだよ。よかったら、一緒に行かね?」
「ごめ……な、さ……」
謝っている途中で、視界が揺らぎそうになった。
「ん?」
東條くんは、当然わたしが何に謝っているかが分からないので、面食らっている。
「ごめんなさいっ!」
わたしはそう叫んだ後に、チケットを受け取らず、そのまま走り去っていった。