キミから「好き」と、聞けますように。
兄貴は相当面食らっている。
まぁ、そりゃあそうか。
俺は、温森に映画を誘ったら断られたことを説明した。
「ふーん、女の子の相談なんて珍しいな」
面食らっていた表情から一変、兄貴は口元を柔らかく上げた。
「お前もそんな歳になったのかー」
まるで親父みたいなことを言うような兄貴。
「えっと、その子と何かするっていうのは映画を誘うのが初めてではないんだよな?」
俺は、温森とカラオケに行ったことも兄貴に話した。
「カラオケでは全然普通だったけど、映画のこととなると必死な様子で断られちゃったってわけか」
兄貴は短く、俺から聞いた話をまとめた。
「多分、だけどな? 映画を誘うことに関してはお前に何か問題があったわけじゃない」
兄貴の言葉に、なぜか心底安心した俺がいた。
けれど、だったら一体何が問題だったのかますます分からなくなった。
「じゃあ、何が……?」
「カラオケは大丈夫だけど映画がダメ。つまり、映画を観るのが無理なんだろう」
なるほど。
でも、あの反応はやはりどうも気になってしまう。
『ごめんなさいっ!』
まるで、誰かに行かせないようにされているようだった。