キミから「好き」と、聞けますように。
翌日。
「かんにいに、きょう、クレープやさんいこうよー!」
まだゴールデンウィーク中ということもあって、朝から七菜が騒々しい。
「また行くのかよー。食べすぎだろ」
「べつにたべなくてもいいの! クレープみるだけでもいいからー」
なんだよ、それ。
普通に温森の母さんに迷惑だろ。
しかもそういうことを言っておいて、絶対に食べたがると思うけど。
「あとねあとね、さゆきちゃんにあいたーい!」
「行っても会えるかどうか分かんないぞー」
「いかないとわかんないもん!」
ほんと、ガキのくせに言語能力が恐ろしく高い。
「いいじゃない、ずっと家にいるよりも。行ってあげなさいよ」
店の準備をしている母さんが、そう言っている。
相変わらず母さんは、七菜に甘い。
そんなに孫が可愛いのかよ。可愛いは可愛いけど、あんまり甘やかさないでほしい。
よりによって、兄貴とお義姉さんは用事があってもういないし。
仕方なく、俺は着替えて七菜と一緒に温森の母さんが働くクレープ屋へと向かった。