キミから「好き」と、聞けますように。

翌日。



「かんにいに、きょう、クレープやさんいこうよー!」



まだゴールデンウィーク中ということもあって、朝から七菜が騒々しい。



「また行くのかよー。食べすぎだろ」



「べつにたべなくてもいいの! クレープみるだけでもいいからー」



なんだよ、それ。
普通に温森の母さんに迷惑だろ。


しかもそういうことを言っておいて、絶対に食べたがると思うけど。



「あとねあとね、さゆきちゃんにあいたーい!」



「行っても会えるかどうか分かんないぞー」



「いかないとわかんないもん!」



ほんと、ガキのくせに言語能力が恐ろしく高い。



「いいじゃない、ずっと家にいるよりも。行ってあげなさいよ」



店の準備をしている母さんが、そう言っている。


相変わらず母さんは、七菜に甘い。

そんなに孫が可愛いのかよ。可愛いは可愛いけど、あんまり甘やかさないでほしい。


よりによって、兄貴とお義姉さんは用事があってもういないし。


仕方なく、俺は着替えて七菜と一緒に温森の母さんが働くクレープ屋へと向かった。




< 54 / 183 >

この作品をシェア

pagetop