キミから「好き」と、聞けますように。
紗雪side
わたしったら、何をしてしまったんだろう。
いくら映画が苦手といえど、一緒に見ることを断っておいて自分の方ではカラオケを誘ってしまうなんて。
でも、そんな風に頭で考えるよりも口が動く方が早かった。
……はぁ、わたしったらバカだなぁ。
相手が優しい東條くんだったからよかったけど、意地悪な男子だったらどうする気だったの? なんて、今更自分に問いかけてしまう。
でも、もしかしたら東條くんが優しいからああ言っちゃったんだろうなぁ。
でも、いつまでも東條くんの優しさに甘え続けるわけにもいかない。
東條くんとカラオケに入り、しばらく歌っているとだんだん飲み物が減ってきてしまった。
こまめに水分をとっていたら、そりゃあなくなるけど。
でも、次は東條くんが歌う番だ。
サッと取ってきちゃおう。
「わたし、飲み物とってくるね」
わたしは、自分の分と東條くんの分のコップを持った。
「わりぃな」
と、東條くんは言ってくれたけどわたしは全然気にならなかった。
東條くんのコップにはメロンソーダ、わたしのにアイスティーをそれぞれボタンを押して注ぐ。
「温森かよ」