キミから「好き」と、聞けますように。
「長嶺さん、ちょっとこっち来てー!」
「あ、はーい!」
背が高くて日に焼けた男の人が、ひなを呼んでいる。
……あぁ、あの人は確か、隣のクラスにいるダンス部の部長さんだ。
部長さんに呼ばれたひなは、小走りで廊下に出た。
「温森、あれ、どこまで読んだ?」
わたしが席に着くと、唐突に東條くんはそう聞いてきた。
「あれって……」
「映画の原作」
ああ、恋色の焚き火のことか。
「あ、ああ! あれか。えっとね……」
わたしは、机の中をガサゴソと探り、恋色の焚き火の本を取り出した。
「そうそう、ここら辺までだけど」
わたしが読んでいる途中の本のページを見せたら、東條くんは目を大きく見開かせた。
「おお、そこら辺さぁ。原作と映画ではちょっと変えられてんだよ」
「えっ、そうなの?」
「そうそう、確か2章から出てくるキャラの設定では映画では掘り下げられてた」
「へぇー!」
やっぱり、原作と映画って全く一緒ってわけじゃないんだなぁ。
わたしも、DVDを借りて見てみようかな。