キミから「好き」と、聞けますように。
「ねえ、さゆきちゃん。こんど、おうちにきてほしいな?」
次の日、七菜ちゃんが足元でそんなことを言い出した。
東條くん曰く、わたしに会うために七菜ちゃんはお母さんのクレープ屋さんに来てくれたみたい。
「わたしが、七菜ちゃんのおうちに?」
「ううん、かんにいにのいえだよ。かんにいにのいえ、ネコちゃんがいるからきてほしいの!」
「ネコちゃん?」
「ちょっと、七菜……」
東條くんは、七菜ちゃんの服を後ろから軽く引っ張った。
「でもなぁ……わたしが行ったら、ちょっと迷惑じゃないかな?」
いきなり行ったら、東條くんのお母さんにも迷惑がかかるし、仮にお仕事でもしていたらかなり申し訳ないよ。
「めいわくなんて、ぜんぜんそんなことないよ! ね、かんにいに!」
「それはそうだな。……って、むしろ七菜、お前がそうやって強引に温森誘ってる方がよっぽど迷惑だぞ」
「えー、だってなな、さゆきちゃんにみせたいんだもん!」
「あのな、温森がもし猫アレルギーだったらとかそういうのは考えないのか?」
「ね、猫アレルギーとかないよっ!?」
思わずわたしの口から、必死に否定する言葉が出てきてしまった。
「猫ちゃん好きだし、わたしも見たいよ。ぜひ今度……お邪魔しようかな……?」
「わーい!」
七菜ちゃんが思いっきりジャンプしたことで、クマのポシェットが勢いよく弾んだ。