キミから「好き」と、聞けますように。

七菜ちゃんに誘われて、2日後のこと。
わたしは早速、授業終わりに東條くんと一緒に家へと向かった。



「お、お邪魔します……!」



「あっ! さゆきちゃん、こっちこっち!」



家に入ると、七菜ちゃんがわたしに手招きをする。


てちてちと足音を立てる七菜ちゃんの方へついていくと、床の上にあるモフモフしたものがにゅっと動き出した。


毛がふさふさしていて長くて、白、茶色、黒の3色がくっきりと分かれている、すごくきれいな猫だ。


普段からきちんと、お手入れしてもらっているんだろうなぁ……。



「おいで、アメ」



「アメっていうの?」



「うん」



アメちゃん、かぁ。きれいな名前だなあ。


アメちゃんはのそのそと歩き、東條くんに抱っこされたあとは、わたしの方を不思議そうに見た。



「アメちゃん」



わたしが撫でても、嫌がることなく気持ちよさそうに目を閉じるアメちゃん。

ふさふさしていて気持ちいい……!



「抱いてみる?」



「いいの!?」



アメちゃんは抱かれる相手がわたしに変わっても、暴れない。

なんていい子なんだろう。

とぅるんとした長い毛に少しだけ顔を近づけると、シャンプーでもしたのか、甘くていい匂いがする。



「ミャオ……」



一声鳴きながら、わたしの腕の中で体をクルンとさせるアメちゃん。


その拍子に、ばっちりわたしと目が合った。
ぬれたような目が、わたしをじっと見つめている。

か……可愛いなあ〜!




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