キミから「好き」と、聞けますように。
先生だけじゃない。
『ねえ、あの人ってほんと手ぇかかるよね』
『え? 温森さんのこと?』
『そうそう! 聞き返してくることが他の人より明らかに多いじゃない?』
『あー! 確かに!』
休み時間でも、あまり親しくない女の子達から指をさされてはそう言われた。
もちろん、男子からもだ。
わたしが聞き返してばっかりいると、短気な男子達は、
『お前、人の話を聞けよ!』
と言いながら、ドン、とわたしの肩を突き飛ばしたのだ。
『聞いてないんじゃなくて、聞こえないだけなんだよ……』
わたしが背後の壁に手をつけてからそう言っても、男子達はさらに怒ったのだ。
『俺そんな小せぇ声で喋ってねーし!』
『この声量で聞こえないとか、ありえねー』
『お年寄りレベルじゃん』
わたしがどんなに聞こえないと反発しても、寄り添ってくれることは決してなかった。