キミから「好き」と、聞けますように。
「ん? 寛太の知り合い? 友達かな?」
女の子は、笑顔を絶やさずわたしと東條くんをかわるがわる見ている。
それに合わせて、女の子の首についているネックレスの小さな飾りが、キラキラと輝きながら揺れる。
わたしは何も言えず、とりあえず2人の方へと近づいた。
「クラスメイト。ここのクレープ屋の娘さんだよ」
「うっそー! ここのクレープ屋さんのお嬢さん!? 超すっごいじゃん!」
「いや、わたしはそんなこと……」
「ああ、そういえば名前を言わないとだね。里見紫杏です。紫の杏って書くの」
里見 紫杏ちゃん。
紫の杏と書いて、紫杏ちゃん。
大人っぽい美人な彼女に、とってもよく似合う名前だ。
ちょうど風が、わたし達の髪の毛をなびかせてきた。
紫杏ちゃんは、茶色くてまっすぐな髪を耳の下で切り揃えていて、さっぱりとしたイメージを一層強くさせている。
「ぬ、温森 紗雪です」
わたしはそう言いながら、軽く頭を下げた。
「温森 紗雪ちゃん!? うわぁ、めっちゃ可愛い名前だね!」
「そ、そう……かな?」
「そうだよ! 可愛いだけじゃなくて綺麗さとか、上品さまで持ち合わせているし。紗雪ちゃん、見るからにすっごくお上品な感じするし、ぴったりだなぁー」
「そ、そんなっ」
お上品なんて……。そんなことを言われると思わなかった。