キミから「好き」と、聞けますように。
「温森。紫杏は俺の幼なじみなんだよ」
「お、幼なじみ……?」
「そう。紫杏は、別の高校行ってて、温森は見たことないけど、俺らは普通に同い年だからな」
そうか、やっぱり別の高校なんだね。
通りで見ない顔だと思った。
こんなに綺麗な顔を学校で見たら、きっと忘れられないと思う。
「同い年かぁ、ってことは紗雪ちゃんも高校3年生なんだね!」
「あっ、はい。そうです」
「ふふ、敬語じゃなくていいよー」
こうやって話すと、紫杏ちゃんは声まで大人びている。
身長は、わたしと同じくらいなのにこんなに大人みたいなんだね。
「ところで寛太。寛太も、クレープ食べに来たの?」
「俺は、ちょっと他の店に用事あったから。それで通りかかったんだよ」
そうだよね、そうやって考えたら七菜ちゃんもいないし。
やっぱり、東條くんはスイーツには興味がないかな。
「七菜にバレるのはまずいけど、内緒で今日は食べようかなとは思ったんだよ。せっかくだしな」
そう言って、お母さんに注文する東條くん。
「紗雪ちゃんも一緒に食べようよ。せっかくだし、みんなでこうやって食べながら雑談したいよ」
紫杏ちゃんの言葉に、わたしもクレープを買うことにした。