キミから「好き」と、聞けますように。

「温森。紫杏は俺の幼なじみなんだよ」



「お、幼なじみ……?」



「そう。紫杏は、別の高校行ってて、温森は見たことないけど、俺らは普通に同い年だからな」



そうか、やっぱり別の高校なんだね。
通りで見ない顔だと思った。


こんなに綺麗な顔を学校で見たら、きっと忘れられないと思う。



「同い年かぁ、ってことは紗雪ちゃんも高校3年生なんだね!」



「あっ、はい。そうです」



「ふふ、敬語じゃなくていいよー」



こうやって話すと、紫杏ちゃんは声まで大人びている。

身長は、わたしと同じくらいなのにこんなに大人みたいなんだね。



「ところで寛太。寛太も、クレープ食べに来たの?」



「俺は、ちょっと他の店に用事あったから。それで通りかかったんだよ」



そうだよね、そうやって考えたら七菜ちゃんもいないし。

やっぱり、東條くんはスイーツには興味がないかな。



「七菜にバレるのはまずいけど、内緒で今日は食べようかなとは思ったんだよ。せっかくだしな」



そう言って、お母さんに注文する東條くん。



「紗雪ちゃんも一緒に食べようよ。せっかくだし、みんなでこうやって食べながら雑談したいよ」



紫杏ちゃんの言葉に、わたしもクレープを買うことにした。




< 81 / 183 >

この作品をシェア

pagetop