キミから「好き」と、聞けますように。
「ねぇ寛太〜、あたし、また七菜ちゃんに会いたい。でも、もう何年も会ってないし、あたしだって分かるかな」
「分かると思うけど。七菜だって、紫杏に懐いてたしさ」
寛太、紫杏、か。
男女の幼なじみって、みんなこうなのかな。
2人は、わたしとひなみたいな関係なんだろうけど、なんだか落ち着かない。
ひなもわたしを『紗雪』と呼び捨てにしていて、わたしも『ひな』と呼びやすいニックネームで呼んでいるわけで。
だから、東條くんと紫杏ちゃんはわたしとひなとそこまで変わらない関係なんだろうけれど、なぜだかモヤモヤとしてしまう。
東條くんとは幼なじみの紫杏ちゃん。東條くんの姪っ子である、七菜ちゃんとも昔から仲良くしている紫杏ちゃん。小中の時も同じ学校で、話し合える思い出を持っている紫杏ちゃん。
でも、お願いだから。
わたしの前で、そんなに仲良くしないで。
わたしの前で、2人にしか話せない思い出をシェアしないで。
わたしの前で、2人が幼なじみだと分かるようなことをしないで。
そんなふうに、思いたくもないのに思ってしまう気持ちが、頭の中で渦を巻いてしまう。