キミから「好き」と、聞けますように。
ただ、学校生活では笑顔だけでうまくいくもんじゃなかった。
『お前、何つけてんだー?』
『いくらおしゃれ好きだからって、学校にアクセサリーつけてくのは禁止だろうがよぉ』
女子をよくからかったりする男子達が、よく紫杏がつけている補聴器をアクセサリーと思い込んだらしく、いじってはバカにしていた。
『さわんないでよ! これ、あたしにとってすっごく大事なんだから!』
どんなにからかわれても、紫杏は強かった。
けれども、男子達は怯むことはなかった。
『取ってやったぜー!』
紫杏の補聴器を無理やり奪って、男子達はどこかへ逃げ出そうとした。
『ちょっ、返して……!』
逃げた方を追いかけようとしたけれど、足音が聞こえないようで紫杏は追いかけるのも困難なようだった。
『東條、何すんだよ!』
俺は気がつけば、男子達から補聴器を奪い取っていた。
『はい、紫杏』
『寛太……! ありがとう』
俺が返してやると、紫杏は安心して目を輝かせた。
『邪魔すんなよ東條!』
『邪魔してんのはお前らだろ』
『えー、何? お前、まさか里見のことが好きなの?』
『つーか、お前ら、付き合ってるだろ。だって下の名前で呼び合ってるもんなー』