キミから「好き」と、聞けますように。
「紗雪、紗雪!」
肩を揺さぶられて、わたしの体はぐらりと揺れた。
さっきまで、過去の映像しか感じていなかったことが嘘のように、今の光景が蘇ってきた。
「大丈夫?」
急なフラッシュバックのせいで、ひなを心配させてしまったみたい。
「あっ、うん!」
ひなにこうやって自分の特性を理解して、寄り添ってくれることは当たり前じゃない。
このことを、大切にしないと。
だから、ずっとひなに甘えてちゃダメだ。
フラッシュバックのことまで、ひなに抱えさせるわけにはいかない。
「ほらー、もう1限始まるぞー。温森と長嶺ももう入れー」
廊下を歩いている先生が、わたし達にそう声をかけてきた。
「は、はい!」
わたしとひなは、そそくさと教室へ入った。