キミを倒すにはHPが足りてない。
【契約は完了した。故にここから立ち去れ、人間よ】
悪魔は静かに姿を消して、二人は一瞬で洞窟の外へと脱出した。
空に浮かぶ朧月が二人の歩む道を弱々しく照らす。
「これでようやく、ずっと一緒にいられるのねハーデルケル」
「そうだね……シュナトリア」
でも、悪魔はやっぱり悪魔で、神様のように優しさだけを与えてくれるわけではないらしい。
「いい服着てるじゃねぇか、お二人さん」
「きゃあ!!何よ貴方たち!!」
「なぁに、抵抗しなければ命までは奪わねぇよ」
「嫌よ!そう言ってどうせ殺す気でしょ?早く逃げましょうハーデルケル!!」
悪魔よ、いっそのこと、彼女から俺の記憶を消してくれ。
「おい、待て!!」
「ハーデルケル!!!早く!!!貴方の早い足なら絶対に逃げ切れるから!!」
そして、叶うなら俺からも彼女の記憶を消してくれ。