夕日を纏わば衷に綻ぶ






「あのイケメン高校生、よく見かけるなぁとは思ってたけど、綺瑛ちゃんに会いに来てたんだね」


「…そう捉えるのが普通ですか……って、高校生?」


「そうだよー。あ、綺瑛ちゃん基本土日しか入らないから見たことないかもだけどね、あの子隣町の高校の制服着てたから。 最近平日来なくなったなーと思ったらそういうことかぁ」


「そういうこと?」


「高確率で綺瑛ちゃんに一目惚れコース。綺瑛ちゃんが土日にいるって分かったから、土日しか来なくなった。可愛いほどに一途じゃあん?」



高校生って……少なくとも私より2つは年下ということか。それにしては大人びた雰囲気だとは思うけどなぁ。



それにしても、一目惚れって本当にあるんだなぁと 笠松さんの話を聞きながら漠然と思う。

漫画やドラマだけの話だと思っていた。まともに話したことの無い人間に恋をするって、一体どんな気持ちなんだろう。



天堂 夕陽という人が一体どんな気持ちだったのか、どんな気持ちでこの紙に連絡先を書いたのか、どの程度私に興味を持ってくれているのか。




「連絡してみる…という手は有りでしょうか」

「えー?私は全然アリだと思うけど。綺瑛ちゃんが男の人に興味持つの、珍しいね?」

「……字が綺麗なので、この方」




男の人にしては綺麗な筆跡を見て、天堂 夕陽の心の内が少しだけ気になった。


私の行動理由は、ただそれだけだ。


< 3 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop