夕日を纏わば衷に綻ぶ
「あのイケメン高校生、よく見かけるなぁとは思ってたけど、綺瑛ちゃんに会いに来てたんだね」
「…そう捉えるのが普通ですか……って、高校生?」
「そうだよー。あ、綺瑛ちゃん基本土日しか入らないから見たことないかもだけどね、あの子隣町の高校の制服着てたから。 最近平日来なくなったなーと思ったらそういうことかぁ」
「そういうこと?」
「高確率で綺瑛ちゃんに一目惚れコース。綺瑛ちゃんが土日にいるって分かったから、土日しか来なくなった。可愛いほどに一途じゃあん?」
高校生って……少なくとも私より2つは年下ということか。それにしては大人びた雰囲気だとは思うけどなぁ。
それにしても、一目惚れって本当にあるんだなぁと 笠松さんの話を聞きながら漠然と思う。
漫画やドラマだけの話だと思っていた。まともに話したことの無い人間に恋をするって、一体どんな気持ちなんだろう。
天堂 夕陽という人が一体どんな気持ちだったのか、どんな気持ちでこの紙に連絡先を書いたのか、どの程度私に興味を持ってくれているのか。
「連絡してみる…という手は有りでしょうか」
「えー?私は全然アリだと思うけど。綺瑛ちゃんが男の人に興味持つの、珍しいね?」
「……字が綺麗なので、この方」
男の人にしては綺麗な筆跡を見て、天堂 夕陽の心の内が少しだけ気になった。
私の行動理由は、ただそれだけだ。