エリート御曹司は淫らな執愛を容赦しない~初夜に繋がる結婚事情~
革張りのソファに座ると、優雅が炭酸水を開けてグラスに注ぐ。

「今、お食事を作ります」
「待って」

呼び止めたら、優雅は隣に座ってくれた。私はうつむき、ごく小さな声で礼を言った。

「迎えにきてくれてありがとう。みじめな気持ちだったから嬉しかった」
「いえ。ですがやはり、あんな男に接触させるべきではありませんでした。あなたをこれ以上傷つけたくなかった」
「一応、スッキリしたわ。本人から謝罪はあったし、私も言いたいこと言えたし」

隣の優雅に顔を向けて、笑顔を作って見せる。

「でも、私って馬鹿みたいよね。あんな男に振り回されて」

上手に笑えない。言葉にしたら情けなくて、涙が出てしまった。
すごく好きだったわけじゃない。だけど、ちょっと気を許してしまった。ちょっと未来を見てしまった。そして、彼の誠意ある謝罪を期待してしまった。
全部裏切られて、自分がいかに馬鹿だったかを痛感する。

「あーあ、本当にがっかりしちゃう」

観察眼が優れていると自負があったけれど、男を見る目に関しては最悪じゃない。
あんな男のために泣きたくないのに、悔しくて涙が止まらない。

「愛菜さん」

優雅の右手が私の頬を滑り、指先が耳朶と髪の毛に触れた。

「ん」

思わずくすぐったくて声が漏れてしまう。優雅が綺麗な顔を近づけてくる。

「甘やかされたいと思っていますか?」
「ゆう……が……」
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