カレシとお付き合い② 森君と杏珠



 私の2年生になってからのクラスは、正直かなりしんどい。
 サエキさんがいるからと思う。
 サエキさん、今もだけど、なんか怖いんだ。

 たぶん、クラスのみんなもそう思ってて、半数以上の生徒が何となく居心地悪そうに単独で過ごしている。

 強めのグループ、サッカー部とかバスケ部とか、運動系の一部は大丈夫。

 サエキさんは大人しいかんじの私達が仲良さそうに話してるのを見ると邪魔しにくるし、それで目をつけられたら何されるかわかんない。
 だから皆んな孤立させられてる。
 今までも私はサエキさんに、かなり嫌われてる方だと感じてた。

 授業中に当てられて発言してたら、馬鹿にしたようにコソコソ笑われて何か言われるし、横を通ると「頭わるー」ってわざわざ言われる。

 特別私だけに言ってるわけでもないようだったし、その場だけだから知らん顔していた。

 でも今。
 
 サエキさんははっきりと、私を私と認識して攻撃していた。
 この人のターゲットになってしまったのかもしれない。

 森君と私が『知り合い』になったから⋯⋯ 。


 サエキさん顔はかわいい。
 頭の回転も早い。
 はっきり話す。
 私が知らないだけで、意地悪や我儘以外にいいところがあるの、かも⋯⋯ 。

 だって、森君が一緒にいるんだから。

 サエキさんがずっと怒ってるのに、ボンヤリそんな事を考えてた。

 班の人もなんとなく目を合わさずに、サエキさんの文句を聞いていたら、隣の班で同じように話し合ってた森君が、サエキさんの後ろから近寄ってきた。
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