カレシとお付き合い② 森君と杏珠
紬ちゃんにカレシが出来た!

石原杏珠(いしはら あんじゅ)サイド〜
⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯

♢紬ちゃんにカレシが出来た!♢



 親友の(つむぎ)ちゃんにカレシが出来た!
 すごく驚いたし。
 最初は信じられなかった。
 
 正直、なんかちょっと、さみしい⋯⋯ 。

 でもカレシが紬ちゃんを見る時の、あの感じよ! 
あんなの、見た事ないよ。
まさに『好きだ』って気持ち。
紬ちゃんの事、ほんとに大事に思ってくれてるんだなって感じる。

 私の未来のカレシも、あんな風に私を見てくれるのかな⋯⋯ なーんて。

 カレシはいない。
 けど。
 本当は、
 なぜか思い浮かんでしまう人はいる⋯⋯ 。




終礼後。
 私は飛び出すようにいち早く教室を出た。
隣のクラスへ走る。


「紬ちゃーん! 」


 幼なじみで親友の桜井紬(さくらい つむぎ)の名前を呼んだら、


杏珠(あんじゅ)〜〜〜! 」


と紬ちゃんも私の名前を呼びながら走ってきた。
 
 私の名前は石原杏珠(いしはら あんじゅ)
紬ちゃんと2人で廊下で抱き合った。


「会いたかったよ〜! 」


 紬ちゃんとは、高校2年生でクラスが別れてしまった。
 夏休みが終わったばかりの9月。
 今日はやっと紬ちゃんと一緒に帰る約束したんだ。

 紬ちゃんは2年生からサッカー部のマネージャーをはじめたので、なかなか一緒に帰れない。
夏季休暇中もゆっくり会う時間がなかった。

 会った途端、私達は積もる話を勢いよく始めた。
 必死で話していたら、紬ちゃんの真横に、日焼けした背の高い精悍(せいかん)な男の子がきた。

辻本理玖(つじもと りく)君。

 サッカー部の、さわやかなイケメン君。
なんと! 紬ちゃんと最近付き合い始めたカレシなんだ。


「紬ちゃん、ほんと、ありえない」
「うん」
「カレシが出来るなんて、ありえない」
「えへへ」
「はぁ、もう遥かかなたに行っちゃったってかんじよ」
「杏ちゃん、ごめん、幸せだよ〜! 」


 ほんと、紬ちゃんがマネージャーを始めたときからおかしいと思ってたんだ⋯⋯ 。

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