カレシとお付き合い② 森君と杏珠

 私はもう、ぜんっぜん先生の話も聞いてなかったし、学級委員の人が前に出てきたのも見てなかった。

 急に森君が、


「あれ、一緒にやんない? 」


と声を発したので、どきっとしてみたら、彼は長い綺麗な指で黒板を指していた。

『文化祭委員』

 そうか、そんな委員あったな。

 去年も2学期のはじめの日に、秋の学祭の委員をクラスで決めたんだった。
 学祭委員はかなり忙しいので、クラブをやってる人は絶対無理だし、忙しい人はやりたがらない。
 去年は立候補した人がいたっけな⋯⋯ 。

って、

それを私と?


「ほら、手あげるよ」


と言われ、思わず森君の顔を見ながら手をあげてしまったら、


「すんなり立候補がいて助かりました。はい、では森くんと石原さんで決定です。よろしくお願いします」


と決定してしまった。

 サエキさんが、遠くても「はぁー⁈ 」と文句を言ってるのが聞こえた。
「何あれ、石原あつかましい」とか「石原、マジふざけんな」とか言ってるのが聞こえてしまった⋯⋯ 。

 怖い⋯⋯ 。
名指し、石原って。
 今後を考えても心配⋯⋯ 。

 他の人も森君はいいとして、私が手を上げたもんだから「だれ? 」となってるよね。

 とりあえず、まばらに拍手があったけど、サエキさんが怖くて顔が上げれなかった。

 森君と隣の席。
 2人で委員。

私、心底動揺してる、混乱だ。
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