カレシとお付き合い② 森君と杏珠


 ばっと振り返ったら、真後ろに森君が立っていた。


「! 」


 そのまま、私はばっと紬ちゃんの方をむいて、抱きついたまま固まった。

 なんで⋯⋯ 。

 なんで、また、森君がいるの?

 そうしたら、さらに、廊下の向こうからサエキさんの声がして、私はあからさまにビクッとした。


「かずまぁ〜
何してんのぉ〜
そんな人と一緒に、どぉーすんの〜? 」


うわ、呼んでらっしゃる、しかもあの語尾⋯⋯ これ、もうすでに明日を待つまでもなく、はじまってるかんじ⁈

 でも、森君は、サエキさんに後ろを向いたまま、右手だけあげて軽く合図するみたいに手を振った。

 そして、辻本君達と、


「変わらんな」


とか言ってる。


「あのわがままはひどい。マジで困る」


と森君が淡々と言った。
 それから森君は誰にともなく、


「小学校からたまたま学校が一緒なんだ。サエキと」


と言った。
 紬ちゃんのの肩からチラッと見たら、森君は私を見て話してた。


「それだけだよ」


と念を押すように言ってにっこり、と森君が笑う。
 とりあえずうなずいた。

辻本君が、


「俺ら今からカラオケ行こうと思ってて、紬も石原さんと話あるんだろ? 
和慎も行く? 」


と言った。
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