カレシとお付き合い② 森君と杏珠
男の子たちは、普通に順番に、淡々と歌ってる。
まいちゃんも順番に入ってる。
まいちゃんは歌い終わったあと、こっちに来て座りながら、
「何?困ったの?クラスで? 」
と聞いた。
ちょうど、私と紬ちゃんが「困った困った」って話してた時だった。
「うーんとね、まいちゃん、私って変わってるのかなー? 」
「どしたん? 」
「ごめんね、こんな事聞いて⋯⋯ 」
森君をチラッと見たけど、静かに座ってるからそのまま話を続けた。
「紬ちゃんもいないし、実は割とクラスで1人なんだよ私」
紬ちゃんが涙を浮かべてうなずく。
「私も、辻本君やまいちゃんがいなかったら同じだったよ」
「普通のクラスなら大丈夫だったと思うんだけど、ちょっとサエキさんが⋯⋯ 。
前から、なんか嫌われてるかな〜なんて。
それがターゲットになっちゃったみたいなんだ」
ちょっと気になって、もう一回森君をみた。話聞かれてないよね⋯⋯
「うーん、サエキはトラブルメーカーだよ。小学校の時から。ウチらからしても。有名だよ、あの子。しかもたち悪いし」
「そうなの? じゃ、私が変すぎておかしいんじゃなくて? 」
まいちゃんが笑った。
「紬も杏珠も、確かにちょっとテンポが違う。男子にも慣れてない。だからって、それでどうもはないよ。私は素直で可愛いい2人が大好きだよ」
うっ、ありがとう
みんなもまいちゃんみたいだったらいいのに。
非常識だけど、特別に迷惑をかけてるわけじゃなし、サエキさんも生ぬるくスルーしてくれたらいいんだけど。
私は嬉しくて泣きたくなった。
「あーあ、でも明日から乗り切れるかな⋯⋯ 」
「なんかあった? 」
「いや、あの、森君が⋯⋯ 」
と言った瞬間、真後ろで声がした。
「オレ? 」