カレシとお付き合い② 森君と杏珠


「私、サッカー部のマネージャーする事になった! 」


 2年生になってすぐの4月だった。

 別々のクラスになっちゃって、まだショックを受けたままでいた私に、紬ちゃんからいきなりの爆弾発言だった。
 
 しかも辻本理玖君と言う男の子に誘われたって!
 だれだ、辻本君って⁈ と確かめたら、何⁈ このスポーツマン⋯⋯ 。
近くで見たことも話した事もないような、モテる感じのイケメンじゃないか。
 
 私は紬ちゃんの事、運動部のマネージャーが出来るタイプじゃないと勝手に思っていた。
10年ぐらい親友なのに分からなかった。

 その上、いつの間にか想像もしなかったタイプの辻本君と、お互い他に誰もいないような勢いで恋してる。
 
 私達は小学校と中学校、女子校に通っていた。
あきず憧れや恋について2人でいろいろ話してきた。
現実にそれがかなって、大事な人に出会った紬ちゃん。
そんな真剣な現実の恋愛の話は、結局紬ちゃんは私に話さなかった。
 
 相談がなかった事は、少し寂しいけど、私だって今感じてる事を全部紬ちゃんに言うわけじゃない。

 自分でも分からない自分の気持ち。
それが形になる。
自分自身で乗り越えていく。

 同じ場所にいたはずの紬ちゃんが、いろんな感情を形にしていった。
 紬ちゃんも、知らなかった自分に向き合って、今の紬ちゃんになってる。
マネージャーをやって、カレシが出来て。

 紬ちゃんが先に成長してしまったみたいで、結構さみしい。
 取り残されままの自分の不甲斐(ふがい)なさが嫌だって思う。
 
 紬ちゃんがちょっと、うらやましい。

 私も紬ちゃんみたいに、何か見つけて、前に進めるんだろうか。
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