カレシとお付き合い② 森君と杏珠


「俺、去年からずっと見てたんだよね。
カノジョたち2人で何をそんなに話してるんだろう、一生懸命だなって」


と森君が言った。

 見てたって、本当だったんだ⋯⋯ 。
 ドキッとする。


「桜井ちゃんが何か委員やってたのかな?
そこの廊下のあたりで、しょっちゅう別れを惜しんでたよね。
気になって、いつも探してた。
かわいいなって」


 かわいいな
 誰の事?
 私たち⋯⋯ ?
 衝撃。
 紬ちゃんも私も、下を見たまま、冷や汗がダラダラしてる⋯⋯ 。

辻本君が、紬ちゃんを引き寄せた

 えっと、えっと、
と私は焦って、何だろう、話の展開。
 頭が混乱、冷や冷や。


「なのに、辻本が2人と帰るのを見かけて、あわてた、まさかなって」
「でも、俺と紬が付き合ってホッとしたんだよな? 」


と、辻本君がキツい口調で言った。


「ふふ、あの時は本気でどうしてやろうかと思った。
桜井ちゃんの方がマネージャーって聞くまでね」


辻本君が、大きなため息をついた。


「お前がうろちょろするから、変だと思ってたんだよ、オレも! 
もう、すげ〜警戒してた。冷や冷やさせんなよ。マジ焦ったー! 」


 それから辻本君は、すごく柔らかい表情で紬ちゃんを見て、紬ちゃんも、「えっ」て見上げて、辻本君と目が合って、真っ赤になった。

 私は2人を見て、そしたら、2人分向こうにいる森君と目が合って、私までカーッと熱くなった。

 何だかつまり、紬ちゃんと辻本君が付き合ってて、それで、何やら解決して⋯⋯ って⋯⋯ えっ? ⋯⋯
 紬ちゃんが私に気がついて、辻本君からパッと離れた。

 紬ちゃんと私は、えーんって抱き合って何となくなぐさめ合った。

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