カレシとお付き合い② 森君と杏珠




 放課後。
 今日から文化委員会。


「行くよ? 」


と森君に言われ、うなずいた。
 ちょっと後ろを歩こうとしていたら、森君が立ち止まって、


「? 」


とこちらを見る。

 いえ、だから、私は並んで歩くのはちょっとね。
いかにも、2人で歩いてますって、苦手なんだ。

〈どうぞどうぞ、お気になさらず〉とジェスチャーでやったけど、森君は、にっこりと笑ってこちらを見てる。

 困った、上手く説明も出来ないから余計いたたまれない。

 だって、男子と2人で歩けません、ってどんだけ言葉にしたら変か⋯⋯ 。
 意識の塊みたいで、何考えてんの⁈ ってかんじだよ。
 わかってる。知ってる。

 でも、初共学を1年半してみて、どうしたって男の子は男の子、女の子とは違う。
男女の友情? とかはファンタジーの世界と思った。

 実際、ただ話しにくい。
 何話していいか、全然わからない。
 頑張って話したら、はっ何言ってんのこの人? みたいなビミョーな感じになって、話さない方がマシ、かな、って思った。

 去年もこんな態度だったから、係でたまたま用事があって、2人で移動する羽目に陥った時は、ほぼ黙って後ろを歩いてた。

 最初、普通に話しかけてくれた男子も、気まずそうになって、申し訳なかったなー。

 !

 手⁈

 えっ⁈

 黙ってたら、森君が私の手を取って握ってきた。
 固まるどころか、もう、心臓が止まったかも

 なに、
どうなった⁈

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