カレシとお付き合い② 森君と杏珠




 文化祭委員は、結構毎日のようにあった。
 ほとんど運動部並み。

 自分で立候補して、しかも毎年続けてやる人が多いので、やる気に満ち溢れていて、みんなしっかりしてる。

 森君は初日の発言や態度が注目されて、今年はじめて委員になったのに、来年の委員長をする事が決まった。

委員長は3年生がやる。

すでに2年生の時の学祭で、来年のために自覚を持ってもらわないといけないため、一年前に決めるらしい。

 森君に反対する人もいなかった。
だって適任。
納得だよね。

 すごいなと思う。

 各クラスから集まった委員が、それぞれの部署にわかれる。
 委員長と総務、広報パンフレット、食品交渉、会計食券、装飾ポスター。

 一覧表を見ながら、私って取り柄がないな、って、つくづく思った。
どんどん決まっていくなか、最後に残った会計になった。

 会計はすごくしっかりした女の先輩が取りまとめていて、間違ったりさえしなければ出来そう! 
よし! 頑張ろう!

と気合を入れた。

 クラスから森君と委員会の教室には移動するけど、その後は仕事が違うからお別れ。

 遠くでリーダーシップを取ってる森君を見て、頑張って集中する。
 会計は食券も準備するので、数を決めたり食券を作ったり、間違えないように、すっごく真剣にやってるんだ。

 帰り、森君と時間が違う時もあるんだけど、森君が、とにかく一緒に帰ろう、と言ってくれる。

同じクラスだし、森君が知り合いがいないから、って。
そんな事ないよなー、と思いながら、嬉しい⋯⋯ って思ってしまう。

 森君はすごく話しやすかった。
男の子なのにな。
初めてだ。
2人でいても、全然困らない。

 最初こそ、私は普通にしていられなかったし、今でも彼のささいな態度にドキドキしてしまうんだけど、気がついたら何か話をずっとしている。

 実際、紬ちゃんと変わらないぐらい、話しやすい。

 ドキドキして、じわじわして。

 いいな、

と思いながら、すごい話して、聞いて、また話して。

 誰といるより、他の誰より、森君といるのがいい。

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