カレシとお付き合い② 森君と杏珠


 委員会の会計の仕事中。

テキパキ、
さっ

 私、結構ちゃんと出来てるんじゃない?
人に話しかけられたのも、わりかし普通に話せてるんじゃない?

 森君が向こうで、ちらっと私を見た。
悩みを話して、森君の悩みを言われて、楽になった。
 皆んな、人には分からなくても、全然そんな事なくても、自分の事悩んだりするんだな、と。
 じゃ、私なんて悩みのかたまりのはずだよね、と。

 わー、仕事、ちゃんと出来るじゃないか私ー、
と調子に乗っていたら、大変な事がわかってしまった。

 会計の人と食券の単純な作業しながら、雑談していた時だった。

 なぜか森君の話になった。

 森君、目立ってるし、来年の長だし。
 私は同じクラスで、まぁ、ちょっとばかり、名前で呼ばれたり? 
 まぁ、ちょっと仲良いし? 
 えへ、私まで誇らしい、ってヘラヘラしてたんだ。

 会計の一人が一年の時、森君と同じクラスだったらしい。


「カノジョ? 」


ってきかれた。
 いえいえ、ちっとも、って否定に首を振る。
 残念ながら、違いマス⋯⋯ 。

 でも、そんなこと聞かれたから、余計『森君のカノジョ』とか『付き合う』とか、いろいろな気持ちが浮かんで、もやもや森君のこと考えていた。

 会計長が、


「あー、ほら、あの子」


と総務のほう、教室の向こうの方で森君の横でにこやかに話してる、すっごく可愛い子を目で指した。
 あの人。
 見たことあるな、と思った。
教室に、何度か訪ねてきた人だ。


「森君の元カノだよ」

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