カレシとお付き合い② 森君と杏珠
モヤモヤ
♢モヤモヤ♢


 
『オレを好きな子は全員カノジョ』
って森君が言った、
って聞いて、

 あれ?

 それじゃ、私もカノジョなんじゃない?
だって、森君のこと、好き⋯⋯ だから⋯⋯ 、

なんて⋯⋯ 。

 でも、ぜんぜん、嬉しくないよ。
そんなの。
心が痛いだけだよ。


「太陽ちゃん⋯⋯ 『カノジョ』って1人だけかな? 」


 明るい窓辺。
 今日はお天気がいい、けど、私の気持ちはどんよりしてた。

 教室で、2人で話してて、太陽ちゃんに聞いてみた。
 太陽ちゃんは驚いたみたいに、


「何言ってんの! 」


って言った。


「付き合う、って⋯⋯ どんな事と思う? 」


太陽ちゃんが、ちょっと考えて言った。


「お互いその人だけが好きで、特別って事なんじゃないの? 」
「じゃ、何人も特別がいたりするの? 」
「違うよ杏! 1人だけだよ! 他の人じゃダメって事だよ! 」


 やっぱそうだよね⋯⋯ 。
 そうだと思う。
 さすがに私でもそう思う。

 辻本君にだって、紬ちゃんの他にカノジョがいたら、紬ちゃんはどうにもならないぐらい傷つく。

 そうだよね⋯⋯ 。

 だから『全員カノジョ』の1人になったって、ちっとも良くない。
 
 森君は、1人だけを大事にしようとか思わないの?
彼は本当にそんな人なんだろうか⋯⋯ 。
それが、確信が持てないほど、彼を知らない事も悔しかった。
 
 『全員カノジョ』ってどうしてそんな事を言ってるんだろう。
別れた元カノとも、あんな風に仲良く話してたし⋯⋯ 。

 だめだ、気持ちが落ち込んでくる。

 森君ともどう話したらいいんだろう?
 優しくされたら、やっぱり私は舞い上がってしまうし、他に親しい女の子がいたら辛い。

 何より彼を一番に知らないのが悔しいし、悲しい。

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