カレシとお付き合い② 森君と杏珠
「おかしいんじゃないか?
オレはサエキにちゃんとして欲しいし、サエキの行動に責任も感じる。怒りを感じてる。
でも、それだけだよ。
気持ちが向いてるとか、何なんだよそれ。
サエキとは、今までも何もないし、オレは誤解されるような行動をした事ないし、浮気なんて言われる覚えもない」
言い合ったってしかたない
森君がきっと正しい。
私が馬鹿な邪推してるんだろう。
そんな男女の関係なんて、私は知らないし分かんないよ。
私は非常識だし!
真剣に向き合ってたら、もう、その強い感情が大きい方がより親しいんじゃないの⁈
森君とサエキさんは、私と森君より親しい、そう言う事じゃないの⁈
森君が落ち着いたかんじで、
「ほんとに分かんないの? 理解できないの? 」
と、真っ当に聞いた。
さらっと、大人みたいに。
あ、ダメだ、私、
「わかんないよ⋯⋯ 」
言葉が溢れてしまう、
「本当に全然わかんない⋯⋯ わかるわけない! 」
涙も溢れて、森君が滲んだ。
「森くんはいっつも余裕ばっかりで⋯⋯ 。
優しいだけで、
でも、大事なことは私に何も話さないじゃない⋯⋯。
抱き合ってたくせに!
昨日、教室で抱き合ってた!
なのに⋯⋯ 」
もう、支離滅裂だよ、
「どんな感情か知らないけど、少なくとも私よりサエキさんとの方が親しいよ!
こないだだって、私がサエキさんとけんかしたときだって、私を置いてって、サエキさんをとった、関係が深い、向き合ってる、サエキさんの性格に一緒に取り組んでる、」
ズビッて鼻水も出てきて、腕で顔を隠したから森君の顔は見えなかった。
「そう思ってる私が理解が悪いって?
じゃ、森くんは私の事ちゃんと見てないから、私の馬鹿さを知らないんだよ⋯⋯ 。
サエキさんの事は見てるのに、私の事なんて見てないんだ。
なのに、いい加減にあしらわないでほしい」
ぶわーって泣いちゃって、森君が、
「あんじゅ⋯⋯ 」
って何か言いかけたから、
「いい!ほんと、いい!
いらない、いらない! 」
って言って、走って、女子トイレの一番奥に入って逃げた。