カレシとお付き合い② 森君と杏珠
びっくりして、ちょっと振り向いて、顔が上の方で、うんっ、て見上げて、まぶしい⋯⋯ すごい整った顔。
何だかいい匂いがした。
くらくら。
初めて近くで見た森君だった。
混乱しながら教室に入ったら、真後ろにまだ彼がいて、何やら軽く誘導された先に、私が去年同じクラスでややしゃべれる友達がいて、ほっとしてお互い挨拶する。
でも、まだ私のすぐ近くに森君がいる⋯⋯ 。
「かずま〜〜〜」
教室を声で支配するような女の子の声が響いた。
森君がすっと私の近くから女の子のいる戸口の方にさりげなく移動した。
『かずま〜』って森君の名前⋯⋯ ですね。
あの子、森君を呼んだんだ。
すらっと手足の長い、髪も長い、すごく小顔美人な女子が森君に笑いかけていた。
「なーんだ、一緒のクラスじゃん、ミカうれしいー、よかったぁー」
女の子は、佐伯美香さんという名前で、かなり森君と親しそう。
森君が椅子に座ったら、華やかな人達がわーっ集まってきて、グループみたいになった。
そのはるか遠くで、私はようやく知り合いの女子となんとかかんとか会話を続けていた。