契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「第二条……甲と乙は、結婚生活を送るにあたり、互いに信頼し、思いやり、支え合い、尊重することとする。第三条……甲と乙は、家庭にかかわる事項を独断で決定することなく、互いに報告と相談をし、互いに納得のいくまでその都度協議し、相互の合意のもと決定するものとする。ここまで、大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
と答えつつも、読んでもらうために近づいた距離に落ち着かない。
意識しすぎなんだろうけど、桐生さん側の彼に触れそうな腕がソワソワしている。
「じゃあ、次。第四条。ここが宇佐美さんも重要なところだと思うけど、仕事のこと。甲と乙は、互いに各自の仕事が最善に遂行できるよう、協力し、努力を惜しまないものとする」
仕事は今までと変わらず続けたい。この条項は私にとったら大事な部分だ。
「第五条……夫婦生活に要する生活費として、その必要額は甲が負担するものとする」
「……えっ、それは折半にするべきじゃないですか?」
生活費を桐生さんが全額負担するなんて不公平すぎる。
思わず口を挟んだ私に、桐生さんは「どうして?」と薄い唇に微笑を浮かべた。
「俺が頼んで契約してもらうんだから、これは当たり前だと思うけど」
「え、でも」
「それに、俺たちの関係は契約かもしれないけど、夫が妻を養うのも一般的に普通のことじゃない?」
「それは……」