契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「あ、桐生さんは、自炊とかは、されていたんですか?」
「俺? ほとんどしなかったな……だいたい外で済ませちゃってたから」
男性のひとり暮らしで自炊しているという人は、女性に比べたらやはり少ないと思われる。
パイロットをしている桐生さんは不規則で自宅を数日空けることもあるだろうから、私のように自炊して作り置きなんてことも難しいだろう。
「そうですか……そうですよね、忙しいですもんね」
「ていうか、おかしくない?」
「え……?」
「〝桐生さん〟って、その呼び方」
おかしい、なんて言われて一瞬なんの指摘をされたかわからず、小首を傾げてしまう。
「え、おかしいって……」
話についていけていない私の様子に、桐生さんは箸を止め小さく息をついた。
「もう結婚したんだから、苗字で呼ぶのはおかしいってこと」