契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 ああ、そっか。


「確かに、そうですね。じゃあ……」

「佑華」

「っ!」


 真正面からじっと目を見つめたままいきなり名前を口にされて、不覚にもどきんと鼓動が弾む。

 あからさまに驚いた反応を見せてしまい、慌てて絡み合っていた視線を泳がせていた。


「えと……じゃあ私は、七央さん、で、いいですか……?」


 誤魔化すようにお茶碗を手にし、たこ飯をかきこむ。

 あからさまにおかしな様子の私を気に留める様子もなく、桐生さんは「ああ、それが自然だろ」とあっさり答えた。


 七央さん……。


 うっかり今まで通り苗字で呼んじゃいそうだけど、慣れなくちゃ。

 食事を進めながら心の中で何度も『七央さん』と呼ぶ練習を繰り返していた。

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