契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 夕食を終えると、お土産で買ってきてもらった北京老舗店のお菓子を早速開けてみることにした。


「お饅頭だから、緑茶がいいですかね?」


 下げた食器を洗いながら、ダイニングテーブルの片づけを引き継いでくれた七央さんに問いかける。

 残りの食器を運んできた七央さんは、丁寧にシンクの中にお皿を入れてくれた。


「緑茶でもいいけど、ジャスミンティーとかでも合うと思う」

「ああ、なるほど! むしろ中国はそっちですね」


 あの独特の香りが苦手という人もいるみたいだけれど、私はジャスミンティーのあの芳香が大好き。

 普段からペットボトルのジャスミンティーもよく飲むし、自宅では茶葉も常備している。


「ジャスミンティーなら、私茶葉持ってきてます」

「マジか。さすが準備いいな」

「好きなんですよ、ジャスミンティー」


 そんな会話を交わしながら、ふとシンクの横に並ぶ植物の鉢たちに目が留まる。


「あの、ここに並んでいる植物って、七央さんが持ってこられたんですよね? なんの植物かなって」


 今日ここに来て、キッチンに入ってから気になっていたこと。漸く訊くことができる。

 私に質問された七央さんは、「ああ」と反応して私の横までくると、その中の一つの鉢を手に取った。

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