契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「これは、全部ハーブ」

「ハーブ?」

「そう。キッチンハーブ。趣味で育ててるやつ」


 予想もしなかった趣味でハーブを育てているという回答にあっと驚く。

 それを聞いて、トークアプリのアイコンが植物の画像だったことと繋がった。


「もしかして、アイコンの画像ってこのハーブですか?」


 気付いたことを訊いてみると、七央さんは「ああ、そう。イタリアンパセリだな」と軽く数度頷く。


「すごい、趣味がハーブの栽培なんて、なんかオシャレ」


 思ったままの感想を口にすると、七央さんは特に表情を変えることもなく「オシャレ?」と、どこか不審そうに私を見遣る。

 決してお世辞を言ったつもりはなかったから、はっきりと「はい!」と返事をした。


「オシャレですよ。ハーブを育ててる男性なんて、今まで出会ったことありませんし」

「まぁ、そんな趣味の奴は少ないだろうな」

「え、じゃあ食べられたりするんですか?」

「もちろん」


 興味津々の私は洗い物を中断し、手の洗剤を洗い流す。

 七央さんは手に取っていた鉢を私に見せるように近づけた。

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