契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「これは、バジル」

「バジル! あ、確かに言われてみれば葉の形がバジルだ。へぇ~……あ、もしかして、これはミントですか?」

「これは、レモンバームだな。葉をこすると……」

「あ、すごい、レモンの香りがする!」


 片付けとジャスミンティーを淹れるのを中断して、七央さんのハーブの話題で持盛り上がる。

 私の質問に七央さんは進んで説明をしてくれて、それがやけに楽しそうに目に映る。

 これまで会話をしていても淡々と話すイメージが強かったし、表情なんてもちろん大きくは変わらない。

 はじめからクールなイメージがあったから、こんな風に声を弾ませるなんて意外だった。

 それだけハーブの栽培が七央さんにとって特別なことなんだろう。


「本当は日当たりのいい場所に置いておくのが一番いいから、出せるときは陽にあててるけど、何日も部屋を空けることもあるから、今までダメにさせちゃったことも何回もある」

「それなら、もう大丈夫ですね」

「え?」

「七央さんが家を空ける時も、私が陽に当ててあげます」

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