契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
片付けを終える頃にはちょうどジャスミンティーも入り、ポットとカップふたつを七央さんがダイニングテーブルへと運んでいってくれる。
そのあとをついていくようにして、お土産の箱を持っていく。
箱を開けると、いろいろな形の饅頭が個包装なしにぎっしりと重なって入っていた。
手作り感溢れる花や動物を象ったものから、刻印の入ったものまでさまざまで見るのも楽しい。
だけど、確かにひとりでは食べきれない量だ。箱を持った感じも一キロ以上はある。病院に持って行って、みんなにおすそ分けするのが良さそうだ。
「七央さん、どれにしますか?」
箱の中から顔を上げると、七央さんはポットからジャスミンティーを注いでくれていた。
「俺はいいかな。夕飯でもういっぱい。美味かった、ありがとう」
「い、いえ。大したものは作れないですけど、あのくらいの食事ならなんとか……」
食後のデザートを断る流れから夕飯のお礼を言われ、あからさまに動揺を露わにしてしまう。
お礼や感謝の気持ちを口に出して伝えられる人なんだと、好感度の上がる新たな発見だ。
「じゃあ、私は……これをいただこう」
その中から花の形の饅頭をひとつ取り、お皿にのせる。
七央さんは早速ジャスミンティーを注いだカップに口をつけていた。