契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「ここで生活を始めたら相談しようと思ってたんだけど、近いうちに両親に会ってもらいたい」
「ご両親に、ですか」
七央さんにとってのこの契約結婚の目的は、結婚して身を固めたとご両親を安心させるため。
そうすれば結婚を急かされ、縁談を持ち掛けられることもなくなるからだ。
「ちょうど先週も母親から連絡が来て、お見合いの話を持ち掛けられた」
どうやら結構頻繁にそういう話をされているようだ。
これでは結婚する気がない七央さんにとっては鬱陶しいはず。
「だから、その時に実は結婚を考えている相手がいると話した」
ごくりと、喉が鳴る。
いよいよ七央さんのご両親に私の存在が伝わったと知ると、たとえ契約結婚という形でも緊張は高まる。
いやむしろ、契約結婚という形だからこそ落ち着かない気持ちに襲われるのかもしれない。
息子の幸せを願っているはずのご両親を、私は七央さんに加担して騙そうとしているも同然だからだ。
「その翌日、職場で早速父親に捕まった。そういう相手がいるならどうして早く知らせないのかと。そんなわけで、両親も早く佑華に会いたいと言ってるんだ」
「そうなんですね……なんか、緊張しますね」
率直な気持ちを口にすると、七央さんは薄っすらと口角を引き上げ笑みをのせる。
そして「大丈夫」と頷く。