契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
契約結婚という夫婦の形。
その形としてベッドルームも用意されているけれど、それをわざわざ使うことはないと思っている。
ひとり暮らしの部屋にベッドを置いてきたのは予定通りだけど、その代わりに客用布団を一式運んでくるつもりがうっかり忘れてきてしまった。
今夜は適当にしのいで、明日の夜勤前にひとり暮らしのマンションに戻って運び出してこようと思う。
タクシーなら、なんとか運べるかな……?
そんなことをあれこれ考えながらバスルームをあとにすると、リビングはダウン照明に明かりが落とされ、七央さんの姿はすでに見当たらなかった。
もう自室に入ったのだろう。
ホッと安堵し、そそくさと自室に引っ込む。
幸い、自室にもインテリアを兼ねた小さなソファーが置いてあるから、そこで今晩はうたた寝をしようと思う。
クローゼットからしまっておいた冬に愛用しているチェック柄のストールを取り出し、ソファーに横たわる。
「うん……大丈夫、寝られそう」
少し漫画でも読んでから寝ようとスマートフォンを天井に向かってかざしたところで、部屋のドアがコンコンとノックされた。