契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
七央さんは宣言通り、一切私に何もしてこなかった。
自意識過剰な女だときっと思われたと思う。
何をそんなに意識しているのかと、もしかして呆れたかもしれない。
だからといって、男女がひとつのベッドで一夜を共にするのに、何も心配しないのだっておかしな話。
私は一応、そういう常識的な感覚で別々にと思ったのだけど……。
でも、七央さんは言っていた。
契約結婚という形でも、自分たちは夫婦という間柄。ひとつの寝室で寝起きを共にすることはなんらおかしなことではない、と……。
確かにその通りだと思うけれど、この家の中でのことは私たちふたりしかわからない。
たとえ別々の場所で寝たからといって、周囲に新婚早々寝室も共にしていないことはわからないわけだ。
これは正論だと思うのだけど、思い切って七央さんに提案してみようかと悩む。
じゃないと、私の心臓がもたないし、今後の睡眠不足がますます深刻さを増しそうだ。