契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
支度を終えて自室を出ると、七央さんはリビングのソファーにかけてテレビを眺めていた。
私が現れたのに気付くと、テレビをオフにする。
「おはよう」
「おはようございます。すみません、お昼前に」
「仕事のための調整なんだから気にしなくていい」
昼だけの仕事なら、毎朝同じ時間に起きて食事の準備をして……という生活スタイルなのだろうけど、夜勤にも携わるためにそうもいかない。
だから、理解を持ってこういう風に言ってもらえるのは大変ありがたい。
「お腹空いてる? 起きたら一緒に食べようかと思って、パスタの準備してたんだけど」
「えっ、そうだったんですか!」
ソファーを立ち上がった七央さんはキッチンに入り、コンロのスイッチを入れる。
大きな鍋が載っているから、パスタを茹でるために湯を沸かすためだろう。
「すみません、私がやるべきことなのに」
「そんなことはないだろ。お互い仕事を持ってるんだから、できるほうがやればいいだけのこと」
「そう言ってもらえると、助かります」
私がそう言うと、七央さんはナチュラルな返しで「助けます」と言ってくれる。
「何か手伝いますか?」
「いや、大丈夫。あと茹でてソースと和えるだけだから。座ってて」
「わかりました」