契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
近距離で突然じっと見つめられ、無意識に息を止めてしまう。
それと同時に、勝手に脳内で広がった妄想に顔がじわっと熱くなるのを感じていた。
「……まつ毛、ついてた」
「へ……あ」
真剣な目で見つめられたと思ったら、近づいてきた指先が摘み取ったのはどうやら顔にくっついていたらしいまつ毛。
七央さんはそれを取り除くと、何事もなかったように私から手を離す。
「あ、まっ、まつ毛……すみません、ありがとうございます!」
へへへっと笑って、さっと隠すように赤い顔を俯かせる。
自分がとんでもないことを〝まさかこれは〟と一瞬でも考えたことが今度は猛烈に恥ずかしさとなって襲ってくる。
あのまま顔が近づいて、キスでもされるのかと身構えていた。
だけど、とんだ勘違い。もう本当に恥ずかしすぎる……!
「よし、食べよう」
「あっ、はい」
私がそんな状態に陥っているとも知らず、七央さんは出来上がったパスタを手にキッチンを出ていった。