契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
恋人はスイーツ
「はい、帝慶医科大学病院、産科病棟、宇佐美です。ああ、小池さん。こんばんは。どうかされましたか? うん……陣痛ぽい? 今、どのくらいの間隔で痛みます?」
病棟も静まる、午後九時過ぎ。
看護師たちはちょうど病室を回る時刻で、ナースステーションには私ひとり。
入った電話を受けると、もうすぐ予定日の女性からの連絡だった。
日中は病院の総合受付から内線で回ってくる外部の連絡も、夜間は直接産科病棟に連絡が入るようになっている。
「その間隔だと、そのまま一気にお産になるかもしれないので、入院の準備して今から来てください。お子さん見てくれる人はいる? うん、じゃあ大丈夫ね。はい、お気をつけて。お待ちしてます」
通話を終えたタイミングで、カートを押す音が近づいてきたことに気付く。
小声で話しながらナースステーションに戻ってきたのは、看護師の滝本佳純と柴なぎさだ。