契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 帰宅後、シャワーを浴びて寝る前の身支度を整え寝室に入ると、そこに七央さんの姿はまだなかった。

 いつも通りベッドの右端に横になり、仰向けで天井をぼんやりと見つめる。

 徐々にうとうととし始めた時、ドアが開く音に意識が連れ戻された。


「悪い。起こしたか」

「あ、大丈夫です」


 入ってきた七央さんは、私同様いつも自分が寝ている側からベッドに上がる。

 仰向けのまま天井に埋め込まれた照明を見ていると、目の端に七央さんが横になったのが映った。


「今日は実家まで来てもらって悪かった。ありがとう」


 しんとした寝室に七央さんの低く落ち着いた声が響く。

 反射的に横に顔を向けて見えた七央さんは、私が今していたように天井に目を向けていた。


「いえ。こちらこそ、ありがとうございました。素敵なご両親ですね」

「そうか。そう言ってもらえると俺も嬉しい」


 また会いたいなと、単純に思う。

 だけど、それは敢えて口にはしない。

 この先にその機会があるかわからないし、この関係もいつまで続くのかわからない。

 私は、本当に嫁いだわけではないから。

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