契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
少しずつ近づいて
「じゃあ、明日十七時にします」
甘い香りが充満するそんな幸せな空間で、受付伝票を受け取る。
それをお財布の中にしまい、弾んだ気持ちでお店をあとにした。
「まだ、寝てるか……」
買い物した荷物をぶら下げたバギーには、お昼寝中の杏莉が乗っている。
日よけからちらりと覗くと、すやすや気持ちよさそうに眠っているのが見えた。
今日は、事前に有休を取っていて丸一日休み。
休みを取ったのは、明日が七央さんの誕生日だと知ったから。
せっかくだからお祝いしましょうと、私から提案したのだ。
その準備をするために、元々休みだった明日と続けて休暇を申請した。
普段有休を取ることをしないからか、案外簡単に休みをもらえて助かった。
その主役となる七央さんは、今はフランス、パリに飛んでいる。
明日のお昼過ぎには日本に帰ってくるから、それまでに準備を済ませておきたい。
なるべく日陰を通るようにして、太陽から逃げながら先を急ぐ。
今朝、買い物に出かけようと準備をしていると、もし休みなら数時間だけ杏莉をみていてほしいと佑杏から連絡が入った。
これまで、私からのお節介で杏莉を預かることは何度もあったけれど、佑杏からお願いする形で杏莉のことをみてほしいと頼まれたことはない。
成海先生方の親族関係で数時間出かけると言っていたから、なにやら急用のようだ。
私のほうはちょうど休暇を取っていたから、数時間杏莉をみているのは構わないと預かった。